特別講演

養護教諭のメンタルヘルスと教育力

  早稲田大学教育・総合科学学術院教授 
                 博士(心理学)

            河村 茂雄 様
 

  養護教諭は健康教育の推進者として大きな存在。でも、子どもたちを受容してくれることの意義も大きい。
「保健室へ行くと元気になる」・・・学校にこういう存在があることがとても大切なこと。
 
教員組織の中では、表面に出るラインではなく、スタッフとして教員をつなぐ存在。
養護教諭の教育力とは
    ○ 日本の学校教育の基盤を支える目に見える専門性存在がもつ専門性
    ○ 教育は共育 という人間同士の営み・・・子どもと共に育つ、同僚同士で育つ
    ◎ 教師力 : 教職を仕事として選択した人間が、教師という役割を通して、少しずつ自ら発達していこうとする力
             → 自分で自分の人生を充実させていく  マイベストタイプの人も、(声に出して)認め合うことが大切

1 学校現場の大きな3つの変化・・・H14、15年頃から
  教育実践環境の変化 多くのストレス、教育実践の見通し、意義、手応えが感じられなくなっていく状況
期待される教育内容・活動の変化 教師としての自分に誇りがもてない・・・背景に「人間としての自分」がないとダメ
勤務条件の変化  アイデンティティの揺らぎ
3つの変化は、発達面での試行錯誤をする余裕を、教師たちから奪っていく

2 今、とてもつらい教師とは
孤立していく若手教師 教師の年齢構成の不均衡
初めから教師として期待されるハードルがとても高い
変化に対応できない中堅・ベテラン教師 新しい教育内容・教育技術についていけない

(中堅・ベテラン教師の代表的なタイプ)


権力的な教師
コツコツ頑張る教師 → 停滞  新潟に多い 一番うつになりやすい
割り切っている教師 → 自己耽溺  前半①に似ていたが突っ走るのをやめた
教職を割り切ることは、結局自分の人生をディスカウントしていることになる・・・メンタルヘルスの悪化
マイベストで取り組む教師 新しい自分をつくっていく、後進に譲る、サポートする
養護教諭にはこのタイプが多い

発達心理の問題も・・・ 人生の後半については、今まで注目されてこなかった
40才までは・・・
秀でた特長を束ねながら自分づくり
前進 外へ向かう より高く
40才からは・・・
衰えが出てくる
身体の節目は心の節目
より深く




3 成人期中期の発達課題
心身の否定的な変化の体験 人生の有限性の自覚・・・今までの自分ではもはや自分を支えきれないという自覚
アイデンティティの再体制化(統合)     ゆらぎと再確立のプロセスが必要!
自己の有限性の自覚と受容   自己の弱さ・影の受容    をする



4 サポートする側が常に意識しなければならないこと
<3つのサポートメッセージ>
感情面でのサポート 心配、共感、同情を伝える
「それはとてもつらかったね」「私もそんなことされたらたまらないわ」
 クライアントはこれが一番良かったと評価する
敬意によるサポート 敬意、尊敬を表明、価値ある存在だと伝える
「あなたはそんなに弱い人ではないよ」「あなたのよさはみんなわかってるよ」
ネットワークによるサポート 同じような境遇にある人を引き合わせたり、専門のカウンセラーを紹介したりすること
◆ サポートする側が何かをやったと自画自賛する前に、
         ・ 相手の満足度に謙虚に耳を傾けなければならない
         ・ サポートの内容は、受け取る相手のニーズ・満足度に規定される
◎ サポートする側は、定期的に受け手の満足度をアセスメントし、
サポートする内容、方法論を常に柔軟に修正していかなければならない
                          
  

   参加者の声
     
  河村先生のお話は、楽しく共感できたことが多く、とても興味深くお聞きしました。またお聞きしたいと思いました。
  心にズシーンと響きました。これからの自分の生き方を考えながら、日々過ごしたいと思います。
  たいへん興味深く、河村先生の口調に引き込まれる2時間でした。

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